飛騨曲木民芸家具
木工スクールの仲間4人とともに、飛騨曲木民芸家具
の工房を訪問。


匠の技
工房を主催する中村守夫氏は、齢70。高山技能専門
学校出身で我々のOBにあたる。宮内庁御用達のイスも
手掛けた知る人ぞ知る飛騨の匠。


工房は2階建て。決して広くはないが、
モノ作りに必要な設備は十分。

心のふるさと
西洋で長い歴史を誇るイスを日本人が作るのは所詮無理だと、ある染織家は言った。確かにデザインの優美さに関して言えば、西洋のイスには及ばない。しかし、中村氏の作るイスには、西洋のものにはない不思議な安息感がある。かゆいところに手が届くデザインとでも言おうか。日本人の体格、動きに配慮した心のふるさとと言える一品である。



 

 

 


素晴らしきディテール
しっくりと手になじむこだわりの味。


治具
木を曲げるために必要不可欠な道具。
家具のカタチに合わせてひとつひとつ製作しなければならない。
治具作りこそ家具を作る上での秘訣である。

職人の命
飛騨曲木民芸家具にはモノ作りの精神が生きている。
当然機械も使うが、かんなやのみといった手工具も健在だ。
市販品のみならず、自ら道具を作ってしまうこともあるという。


真のモノ作りとは
高山市内にある某家具メーカーの工場を視察する機会があった。
そこでは、モノ作りとはほど遠いライン作業が淡々と行われて
いた。機械による合理的な製造により、従業員は没個性化し、劣悪な環境下での労働を強いられる。モノ作りを志す人間の行き着く先は、こんなものなのかと暗胆たる気持ちになった記憶がある。

飛騨曲木民芸家具はそうした大手メーカーとは対極にある、高山でも数少ない工房だ。ただ経済的には決して楽とは言えないだろう。モノ作りの楽しみを味わうために、タダ同然の収入で小さな工房で修行をするか、大手のラインとなって人並みの生活を享受するか。職人を目指す人間が一度は突き当たるジレンマであり、大きな選択である。
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